冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

あの後…

真壁の声で振り返り、
敵の車から出て来た運転手の短銃を寸での所で奪い取り事なきを経た。

首相はひとまず別邸に匿い、電話を借りて応援を頼んだ。

その間に真壁の腕から流れ出る血を止血し安否を確認する。

切り傷5センチ…傷口はそこそこ深い。

縫う事になりそうだなと真壁に告げて立ち上がり、事の後始末に外に向かう。

残党は全部で4人。
全員を後ろ手に縄で縛り、逃げないように側の電柱に括り付ける。

短銃の音で驚き集まり始めた野次馬を下がらせる為、駆けつけた警官に頼み制し線を張らせる。

その後、投げ捨てた背広を拾いやっとひと息吐く。

極秘任務は完了…。

ひとまず早く終われたな…
 
早く帰って香世の顔が見たい。

車に寄りかかり星空を見上げて正臣はそう思った。
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