冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
ガチャ
診療室のドアが突然開き、2人でパッとそちらを向く。
「二階堂中尉、お疲れ様です。」
軍医が俺に向かい敬礼する。
チラリと香世を見る。
俺は立ち上がり敬礼を返しながら香世を背中で隠す。
「真壁の怪我の具合はどうだ?」
「五針縫いました。今、薬で寝てますが、
出血も多く1週間ほど入院が必要です。」
「分かった。後で必要な物を部下に届けさせる。病室が分かり次第、第一部隊の酒井に連絡を。」
「了解しました。」
「俺は明日は非番だ。
何があれば自宅に連絡をくれ。」
「はっ。…あの、そちらの方は?」
正臣は、気付かぬふりをして欲しかったと思いながら、
「俺の…知り合いだ。
迎えが待っているから帰る。
後はよろしく頼んだ。」
「はっ!」
敬礼して、香世に目を向け行くぞと伝える。
香世は軍医にペコリと頭を下げて、
パタパタと俺の後ろを付いてくる。
廊下の角を曲がり、足取りが早過ぎたかと少し立ち止まり振り返る。
香世が追い付いて来てホッとした顔をする。
さっきよりもゆっくり歩く。
「足元、気を付けろ。」
「はい。」
香世は微笑み頷く。
香世に話さなければならない…。
俺の事は気にせず、自由に好きな所へ行っていいのだと。
心がギシギシと軋む音がする。
診療室のドアが突然開き、2人でパッとそちらを向く。
「二階堂中尉、お疲れ様です。」
軍医が俺に向かい敬礼する。
チラリと香世を見る。
俺は立ち上がり敬礼を返しながら香世を背中で隠す。
「真壁の怪我の具合はどうだ?」
「五針縫いました。今、薬で寝てますが、
出血も多く1週間ほど入院が必要です。」
「分かった。後で必要な物を部下に届けさせる。病室が分かり次第、第一部隊の酒井に連絡を。」
「了解しました。」
「俺は明日は非番だ。
何があれば自宅に連絡をくれ。」
「はっ。…あの、そちらの方は?」
正臣は、気付かぬふりをして欲しかったと思いながら、
「俺の…知り合いだ。
迎えが待っているから帰る。
後はよろしく頼んだ。」
「はっ!」
敬礼して、香世に目を向け行くぞと伝える。
香世は軍医にペコリと頭を下げて、
パタパタと俺の後ろを付いてくる。
廊下の角を曲がり、足取りが早過ぎたかと少し立ち止まり振り返る。
香世が追い付いて来てホッとした顔をする。
さっきよりもゆっくり歩く。
「足元、気を付けろ。」
「はい。」
香世は微笑み頷く。
香世に話さなければならない…。
俺の事は気にせず、自由に好きな所へ行っていいのだと。
心がギシギシと軋む音がする。