冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
一方その頃、
正臣の居る司令本部に一報が入る。

中央の銀行で立て籠り事件発生。

ただちに現場にて対応との要請あり。

警察では手に負えない凶悪事件は軍が対応する事になっている。

正臣はその一報を聞きハッとする。

今朝、香世は何て言っていた⁉︎

姉の使いで銀行に行って来ると言っていたではないか!!

そう思うと血の気が低くのを感じ、
立ち上がり、司令官室へと急ぎ廊下を走る。

ただ事では無いと、
同室で事務作業をしていた真壁も正臣の後をついて走る。

ドアをノックするのも煩わしいと思うほど

「二階堂です、入ります。」

と、ドアを開ける。

大将である父と、上官2人と共に作戦会議を
していた。

「どうした。何事か?」
父が正臣に厳しい目線をおくる。

「どこの銀行ですか?人質は?」
正臣はいつになく冷静さを欠き、矢継ぎ早に言葉を発する。

「帝央銀行だ。
客を含む人質は53人、お前が指揮を取れるか?」
父として正臣がこれほど取り乱れるのは初めてだと、怪訝な顔を投げる。

「自分が行きます。行かせてください。」
一呼吸おき、少し冷静になった正臣は言う。

「知り合いがいるのか?
それで、冷静に判断出来るのか?」
上官の1人がそう問いかける。
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