冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
「二階堂正臣。この女、お前の婚約者か?
自分から名乗り出てくれた。
俺達はそろそろここから脱出する。
このまま、この女を盾にして車に乗り込む。
お前らは無能だ。
この女の命が欲しかったら手足出すなよ。」

主犯格の男が香世の首に短刀をあて玄関へと歩き出す。

「中尉!香世様です。どうしますか?
このままでは連れ去られてしまう。」
酒井も真壁も咄嗟の事で判断に迷う。

正臣は香世の姿を捉え、
今までに無く怒りを覚える。

なぜ自ら名乗り出たのだと、奥歯を噛み締め
正臣は香世を見据える。

「俺が主犯格を惹きつける…お前らは残り4人を抑え込め。」

「了解。」
真壁は咄嗟に判断し、部下に手信号で指示をだす。

二階堂は突然、主犯格に向けて歩みよる。

「二階堂中尉!!」

真壁はその後を慌てて着いていく。

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