冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

朝になり布団から這い出る。

寝ようと思っても香世の姿が思い出され
なかなか寝る事が出来なかった。

気だるい身体を無理矢理起こすが、
毎日の日課の竹刀を振る事も、朝飯を食べる事もほとんど出来ず。

前田の運転で司令本部に行く。

「ボス、香世ちゃんはへこたれない。
きっとすぐ目を覚まして元気になる。
もし、軍法会議中に一報が入ったらすぐさまボスに連絡するから力を落とさないで、貴方が信じてあげなくてどうするんですか。」

「そうだな…よろしく頼む。」
魂が抜けたような顔をして正臣は段々と返事をする。

司令本部の会議室につき、
昨日の一部始終を真壁が報告をする。

「怪我人は銀行支店長の林田さんと、
樋口香世さんです。
彼女は自分を犠牲にしてまで人質を助け出そうと、1人果敢に人質になると自ら名乗り出たそうです。しかし彼女は頭を強く打ち…未だ意識が無い状態です……。」

「樋口香世は二階堂中尉の婚約者だろう?」
父である大将が正臣に問う。

「……。」
言葉を発しない正臣に再度、

「二階堂中尉、返事をしろ!」

「はい…。彼女は、私の婚約者です。」
正臣が淡々と述べる。

そこから、昨日の報告を正臣自身話し始める。
一切感情を動かさない淡々とした状態だった。

途中、真壁は心配な眼差しで正臣を見つめていたが、最後の撤退の段になり話を引き受け真壁が話し終える。

「ご苦労だった。
後は5班が犯人の事情聴取を引き受け、
滞りなく裁判に持ち込めるようお前達にも協力を要請する。
最善を尽くし、被害者が少なく済んだ事を嬉しく思う。」
大佐の言葉をもらい会議は終了する。
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