冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
駐車場で今度は前田が待っていた。
「お疲れ様です。
ボス、香世ちゃん目覚めたって聞いたので
味噌まんじゅう買って来ました。
持って行って下さい。」
「さすが情報が早いな。」
苦笑いしながら味噌まんじゅうを受け取る。
「俺も出来ればお見舞いに行きたかったんですけど、きっと誰が分からず混乱させるだけだと思いますし…。
しかしボス、思ってたより平常運転っすね。
もっと落ち込んでるのかと思ってたんですけど。」
驚きの眼差しで
「落ち込んでる場合じゃないだろ。
ゼロからまた信頼を取り戻さないといけないんだ。」
そう告げて、車に乗り込む。
「さすがボス、そうこなくっちゃ。」
安心したのか前田は運転席に乗り込み、
「では、病院前まで出発します。」
張り切って指差し確認までして出発する。
俺は若干呆れながら、
「…そう言うの要らないから。」
と、ため息を吐く。
俺の周りにはお節介で心配症の奴らばっかりだなと密かに嬉しく思う。