冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
車に揺られながら外の景色を楽しむ。
三年間の月日の間に建った建物や
取り壊され空き地になってしまった場所。
香世の目からは全てが新鮮で新しい物に感じ、思わず感嘆の声を上げる。
「うわあ。ここは何処ですか?
こんな建物初めて見ました。」
目をキラキラして車窓を楽しんでいる。
「去年完成した武道館だ。」
正臣はバックミラー越しに香世を見る。
今の香世は15歳の少女に見えるから不思議だ。
隣に座っている龍一は遊び疲れたのか、眠そうに船を漕いでいる。
「この後、我が家に寄って欲しい。
香世殿の退院祝いをと、うちの女中が夕飯を用意しているので。」
「まぁ、わざわざありがとうございます。」
姉は嬉しそうに微笑む。
香世は恐縮して、
「あの、本当にいろいろして頂いて申し訳ないです。ありがとうございます。」
ペコリと頭を下げる。
「気にしなくていい。こちらがしたくてしている事だ。
それより龍一君が眠そうだな。」
香世が龍一の揺れる体を慌てて押さえる。
正臣はハハッと笑い、仲の良い兄妹をミラー越しで見守る。
どうかこれからは心穏やかに暮らして欲しい。
香世の害になるであろう父親の事をどうにかしなければと、正臣は強く思う。
三年間の月日の間に建った建物や
取り壊され空き地になってしまった場所。
香世の目からは全てが新鮮で新しい物に感じ、思わず感嘆の声を上げる。
「うわあ。ここは何処ですか?
こんな建物初めて見ました。」
目をキラキラして車窓を楽しんでいる。
「去年完成した武道館だ。」
正臣はバックミラー越しに香世を見る。
今の香世は15歳の少女に見えるから不思議だ。
隣に座っている龍一は遊び疲れたのか、眠そうに船を漕いでいる。
「この後、我が家に寄って欲しい。
香世殿の退院祝いをと、うちの女中が夕飯を用意しているので。」
「まぁ、わざわざありがとうございます。」
姉は嬉しそうに微笑む。
香世は恐縮して、
「あの、本当にいろいろして頂いて申し訳ないです。ありがとうございます。」
ペコリと頭を下げる。
「気にしなくていい。こちらがしたくてしている事だ。
それより龍一君が眠そうだな。」
香世が龍一の揺れる体を慌てて押さえる。
正臣はハハッと笑い、仲の良い兄妹をミラー越しで見守る。
どうかこれからは心穏やかに暮らして欲しい。
香世の害になるであろう父親の事をどうにかしなければと、正臣は強く思う。