冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
「傷が深そうです。どうか病院へ行って下さい。」
香世が必死で二階堂の傷口を止血しながらそう言う。

「大丈夫です。
軍の者なので戻れば治療が出来ますので。
それよりも…貴女は大丈夫か?」

見れば左肩の着物が切れ襟元が薄ら赤く染まっている。

女子なのに傷を付けてしまったと、
二階堂は心配になり止血をしようと手を伸ばす。

「大丈夫です!私は大丈夫ですので、
どうぞ早く治療を。」
そう言って香世は立ち上がり、
二階堂に頭を深く下げうずくまる姉の側へ行ってしまう。

その後、警察が来たり周りの人集りも増えた為、二階堂は目立つといけないとそっと現場を離れてしまった。
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