冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
ああ、前にも見たな。
綺麗過ぎて目を奪われた…
あの時は花街の花魁姿だったが。
「こちらこそよろしく頼む。」
俺も誠意を持って頭を下げる。
「一度、二階堂家の皆様に挨拶に行かせて頂きたいです。
お母様やご兄弟の方にもご挨拶させて下さい。」
「うちは軍に入りさえすれば、
あとは放任主義だからそれぞれ好きにしている。気にしなくても良いんだが、
まぁ、香世がそれが嫌なら…
近いうち挨拶に行こう。」
「ご兄弟は何人ですか?」
そうか、そんな話もしてなかったな…
今更だなと苦笑いしてしまう。
「俺はこれでも長男だ。下に弟が2人いる。
1人は軍部の司令官で、末の弟は飛行機乗りになる為に飛行学校に通っている。」
「お歳はおいくつですか?」
「広臣が26で、正孝が19だ。」