冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
何故?
それほどまでに私を助けようとするのか理由が知りたい。
慈善事業にしては額が大き過ぎる。
香世は頭を下げながら考える。
そっと頭を上げて二階堂を見つめる。
その精悍で整った外見は一見冷たくも見え、
心の中が全く読み取れない。
ただ、射抜くように私を見る眼差しは熱く、恐いというよりは、美しく、見惚れてしまう。
男性を美しいと称するのはどうかと思うけど……。
目を逸らす事さえ躊躇ってしまう。
「それに、樋口家のお父上の事業の事だが、まだ何とかなる可能性がある。
私に介入させて頂ければ、全面的に助ける事も出来る。」
香世は思う。
それでも、父の事業の為に1000円の対価を払ってまでこの人になんの徳があるのだろうか?
計り知れない思いを胸に、
どうせこの身を捧げるのなら…
と香世は決心して立ち上がる。
二階堂に歩み寄り向かい合って正座する。
そして深く頭を下げる。
「どうぞ、よろしく、お願い致します。」
二階堂が一瞬だけホッとした顔をし、
「では、着替えて来い。」
と、小さく香世に言う。
「はい。」
と香世も小さく頷き、女将に向かって頭をさげる。
「女将さん、申し訳ありませんが着替えて参ります。」
立ち上がり部屋へ下がる。
それほどまでに私を助けようとするのか理由が知りたい。
慈善事業にしては額が大き過ぎる。
香世は頭を下げながら考える。
そっと頭を上げて二階堂を見つめる。
その精悍で整った外見は一見冷たくも見え、
心の中が全く読み取れない。
ただ、射抜くように私を見る眼差しは熱く、恐いというよりは、美しく、見惚れてしまう。
男性を美しいと称するのはどうかと思うけど……。
目を逸らす事さえ躊躇ってしまう。
「それに、樋口家のお父上の事業の事だが、まだ何とかなる可能性がある。
私に介入させて頂ければ、全面的に助ける事も出来る。」
香世は思う。
それでも、父の事業の為に1000円の対価を払ってまでこの人になんの徳があるのだろうか?
計り知れない思いを胸に、
どうせこの身を捧げるのなら…
と香世は決心して立ち上がる。
二階堂に歩み寄り向かい合って正座する。
そして深く頭を下げる。
「どうぞ、よろしく、お願い致します。」
二階堂が一瞬だけホッとした顔をし、
「では、着替えて来い。」
と、小さく香世に言う。
「はい。」
と香世も小さく頷き、女将に向かって頭をさげる。
「女将さん、申し訳ありませんが着替えて参ります。」
立ち上がり部屋へ下がる。