冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
子供達お手製の誕生日会は続き、
香世とタマキで頑張って作った料理も好評で
あっという間にみんなで平らげてくれた。

正臣は前田と子供達と一緒に将棋をしたり、
終始楽しく笑って過ごした。

タマキは7時近くにお先に失礼します、と仕事を終え香世と作ったドーナッツを嬉しそうに手土産に持って帰って行った。

8時過ぎ、
泊まって行きたいと駄々をこね始める龍一を、前田が有無を言わず強引に連れて帰って行った。

騒がしかった部屋が急にシーンと寂しくなる。

「正臣さん、お先にお風呂に入って下さい。私、片付けを済ましてしまいますので。」

香世はお皿を片付けようとお盆を持って小皿を集める。

「俺も手伝う。」
正臣が残っていた大皿を集め出すから、慌てて止める。

「あ、あの大丈夫ですから、お風呂へ行って来てください。」

「一緒に片付けた方が早く終わるだろ?
それに、これだけのご馳走を2人だけで作ったんだ。香世も疲れただろう。」

香世は困ってしまう。
男の人にしかもこの家の主に片付けを手伝って貰うなんて許されるのだろうか。
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