冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
何となく歯痒くなった正臣はおもむろにシャツを着替えようと、ボタンに手をかける。
ハッと気付き、
「ここで着替えても大丈夫か?」
誰にともなく聞いてみた。
タマキは笑いながら、
「真子様、玄関に草履を用意しましたが、
一度足を通して頂きたいんです。」
と、言って真子の手を引き部屋を出て行く。
香世は急に2人っきりにさせられて、
困ってしまう。
「香世は、子供の扱いが上手いな。」
そう話しながら正臣は自らワイシャツのボタンを外していく。
香世はどうすればいいか戸惑いながらも、
朝の時のように、
襟元のボタンと手首のボタンを外すお手伝いをする為正臣に近付く。
「学生時代、学校の先生になりたいと思っていた時がありました。」
ポツリと香世は話し出す。
「何故ならなかったのだ?」
「それどころでは無くなりましたし…
父は公爵の娘が働く事を嫌いました。
きっと…意志を持つ女子は嫌いなのです。」
香世は寂しく微笑む。
「だから、花街に売られたとでも?」
正臣は朝の時のように、香世がボタンを取りやすいよう少し屈みながら、問いかける。
「厄介者が居なくなって清々しているかもしれません。」
手首のボタンを外しながら香世は答える。
正臣は怪訝な顔をする。
香世は初めて正臣の感情を見た気がして驚く。
「俺は意志のある女子は嫌いじゃない。」
思わず正臣を見上げ凝視してしまう。
そのタイミングで正臣がバッとシャツを脱ぐから、慌てて香世は目線を外しわたわたと背を向け、新しいワイシャツを正臣に渡す。
この人の側にいると心臓に悪いと、
香世は頭の片隅でつい思ってしまうほど、
心拍数が上昇する。
「香世のしたいように生きろ。
人生は一度きりだ。誰にも香世を縛る権利は無い。」
心に響く言葉に香世は戸惑う。
正臣は新しいシャツのボタンを留めながら、
何気無しにそう言う。
「俺は香世の自由を買ったのだ。
誰に囚われる事なく、好きな事をして生きて欲しい。」
それがこの人の本心なの?
信じられないと言う様に目を見開き香世は正臣を見る。
ハッと気付き、
「ここで着替えても大丈夫か?」
誰にともなく聞いてみた。
タマキは笑いながら、
「真子様、玄関に草履を用意しましたが、
一度足を通して頂きたいんです。」
と、言って真子の手を引き部屋を出て行く。
香世は急に2人っきりにさせられて、
困ってしまう。
「香世は、子供の扱いが上手いな。」
そう話しながら正臣は自らワイシャツのボタンを外していく。
香世はどうすればいいか戸惑いながらも、
朝の時のように、
襟元のボタンと手首のボタンを外すお手伝いをする為正臣に近付く。
「学生時代、学校の先生になりたいと思っていた時がありました。」
ポツリと香世は話し出す。
「何故ならなかったのだ?」
「それどころでは無くなりましたし…
父は公爵の娘が働く事を嫌いました。
きっと…意志を持つ女子は嫌いなのです。」
香世は寂しく微笑む。
「だから、花街に売られたとでも?」
正臣は朝の時のように、香世がボタンを取りやすいよう少し屈みながら、問いかける。
「厄介者が居なくなって清々しているかもしれません。」
手首のボタンを外しながら香世は答える。
正臣は怪訝な顔をする。
香世は初めて正臣の感情を見た気がして驚く。
「俺は意志のある女子は嫌いじゃない。」
思わず正臣を見上げ凝視してしまう。
そのタイミングで正臣がバッとシャツを脱ぐから、慌てて香世は目線を外しわたわたと背を向け、新しいワイシャツを正臣に渡す。
この人の側にいると心臓に悪いと、
香世は頭の片隅でつい思ってしまうほど、
心拍数が上昇する。
「香世のしたいように生きろ。
人生は一度きりだ。誰にも香世を縛る権利は無い。」
心に響く言葉に香世は戸惑う。
正臣は新しいシャツのボタンを留めながら、
何気無しにそう言う。
「俺は香世の自由を買ったのだ。
誰に囚われる事なく、好きな事をして生きて欲しい。」
それがこの人の本心なの?
信じられないと言う様に目を見開き香世は正臣を見る。