冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
正臣はほとんど自分で着替えを済まし、
香世は脱いだ服を整えるくらいしか役割が無かった。
ネクタイの縛り方も分からなければ、
整え方さえ分からない。
それなのに正臣は、
「ありがとう。」
と言って部屋を出て行く。
正臣の背中を視線でつい追ってしまう。
襖に手をかけた正臣が不意に振り返り、
「その着物、よく似合っている。」
ぶっきらぼうにそう言って、
サッサと香世を1人部屋に残して行ってしまう。
「…ありがとうございます…。」
香世は頬が火照るのを感じながら、
届かなかったお礼の言葉を呟く。
香世は脱いだ服を整えるくらいしか役割が無かった。
ネクタイの縛り方も分からなければ、
整え方さえ分からない。
それなのに正臣は、
「ありがとう。」
と言って部屋を出て行く。
正臣の背中を視線でつい追ってしまう。
襖に手をかけた正臣が不意に振り返り、
「その着物、よく似合っている。」
ぶっきらぼうにそう言って、
サッサと香世を1人部屋に残して行ってしまう。
「…ありがとうございます…。」
香世は頬が火照るのを感じながら、
届かなかったお礼の言葉を呟く。