冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
正臣の自宅に到着してほっとしたのも束の間
早々にタマキが「おやすみなさい」と別邸に帰ってしまった。

香世は2人っきりの空間は気まずい…と、
ソワソワしてしまう。

これは早く寝てしまうべきだと思い立ち、
正臣の風呂の支度を用意して、
郵便物に目を通している正臣に声をかける。

「あの…お湯が冷めてしまう前に入って頂きたいと思います。」

「ああ。」

正臣は返事をしたものの、なかなか立ち上がろうとはしない。

香世は困り、所在無く側にそっと控える。

「香世、ひとつ聞きたい事がある。」

一通り郵便物に目を通してから正臣がポツリと話し出す。

「はい…。」
香世はそっと正臣を見る。
< 69 / 279 >

この作品をシェア

pagetop