冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
香世を夜中近くまで家で1人置く事に少なからず不安を覚える。
しかも、女中頭のタマキと古賀も
この1週間は父の手伝いに駆り出され居ないのだと言う。
家には若い女中2人と香世だけになる。
出来るだけ香世の話し相手になって欲しいと
タマキから2人の女中には伝えてもらったが、
2人は通いで働いているから、
夜はどうしても香世1人になる。
香世もまだあの家に来て3日は経っていない。
少なからず心細さを感じているのではないだろうか…。
執務室へ入り事務仕事をこなす。
中尉になってから意外と事務仕事が増え、
1日に結構な量の書類に目を通して印を押す。
定時でこれを全てこなし、
尚且つ通常勤務の近衛兵達の欠席の交代、
体調管理、配属場所の確認、振り分け等を決め、部下に伝達、指揮を執る。
第一部隊の近衛兵部隊は花形部署であり、
全国から選りすぐりの精鋭が集められている。人数は現在200名。
主な仕事は、要人警護や護衛、
国内の凶悪事件の対処や国の重大遺産の警備や輸送など、多岐に渡りそれぞれこなす任務も違う。
決して失敗は許されない任務ばかりだ。
24時間の交代任務もある為、
日々どの任務に誰を置くかを考え、
適材適所を選び、配置し落ち度のないようにするのが俺の最大の役目だ。
兵士は毎日の丹念を欠かさず
どんな任務を任されようが、
直ぐに対応出来るよう身体を鍛えておく事も大切になってくる。
それは自分自身にも言える事だ。