冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す
コンコンコン

執務室のドアをノックする音が響く。

「第一小隊所属、酒井上等兵です。」

「入れ。」
書類の手を止める事無く部下に返事をする。

「失礼します。」
酒井が一礼をして部屋に入って来た。

「本日、9時より第一中隊は剣道、
第二中隊は合気道の訓練に入ります。
二階堂中尉はご参加でしょうか?」

「合気道に入る。後五分待て。」
手元の書類を片付けながら指示を出す。

「はっ。」
酒井はドアの付近に控え待つ。

手早く早急の書類を10枚程、目を通し確認印を押す。

「先日は、私的な事で動いてもらって悪かったな。」

「いえ、こちらこそ。美味しい物をご馳走して頂きありがとうございました。」
酒井は脱帽して頭を下げる。

真壁の部下である酒井は堅物ではあるが、
口が固く信頼のおける男の1人だ。

「この書類を各部署に回してくれ。」
決済書類を手渡す。

「了解しました。」
酒井は書類を配りに敬礼して部屋を出て行く。

俺は訓練所に向かう為立ち上がり、
軍帽を片手に部屋を出る。
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