伯爵夫人の遺書
「リサ? どこだい?」
「!!」
突然、階下からブレント様の声が聞こえて来た。私は慌てて便箋を封筒にしまい、本の間に挟んで元あった場所に戻す。そうしてそろそろと部屋から抜け出し、階段を降りた。
「ブレント様。何かご用ですか?」
「リサ! 先ほどアシュトン夫人からオレンジのケーキが送られてきたんだ。リサ、好きだったろう? 今から一緒に食べないか?」
「まぁ、嬉しいですわ。ぜひいただきます」
笑顔で問いかけてくるブレント様に、私も微笑んで返した。内心、いつも通り笑えているのか心配だった。彼に対する疑念が顔に出てやいないだろうか。
しかし、ブレント様の柔らかな笑みを見ていると、先ほどの遺書の内容は全て嘘だったのではないかと思えてくる。
例えば、前の奥様が、悪ふざけで書いたとか? 冗談でもそんな悪趣味な嘘を書くとは思えないけれど……。
とにかく、彼の柔らかな笑顔は、私にあの遺書の内容を見なかったことにしたいと思わせるには十分だった。
「行こう。リサ」
「はい」
私はブレント様に続いて、ダイニングルームへ向かった。
「!!」
突然、階下からブレント様の声が聞こえて来た。私は慌てて便箋を封筒にしまい、本の間に挟んで元あった場所に戻す。そうしてそろそろと部屋から抜け出し、階段を降りた。
「ブレント様。何かご用ですか?」
「リサ! 先ほどアシュトン夫人からオレンジのケーキが送られてきたんだ。リサ、好きだったろう? 今から一緒に食べないか?」
「まぁ、嬉しいですわ。ぜひいただきます」
笑顔で問いかけてくるブレント様に、私も微笑んで返した。内心、いつも通り笑えているのか心配だった。彼に対する疑念が顔に出てやいないだろうか。
しかし、ブレント様の柔らかな笑みを見ていると、先ほどの遺書の内容は全て嘘だったのではないかと思えてくる。
例えば、前の奥様が、悪ふざけで書いたとか? 冗談でもそんな悪趣味な嘘を書くとは思えないけれど……。
とにかく、彼の柔らかな笑顔は、私にあの遺書の内容を見なかったことにしたいと思わせるには十分だった。
「行こう。リサ」
「はい」
私はブレント様に続いて、ダイニングルームへ向かった。