悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
翌日のバイロン侯爵家は大騒ぎだった。
舞踏会の後で娘が王太子に呼び出されたのだ。これまで王太子がひとりの令嬢を呼ぶことはなかったので、両親はそれはそれは喜んでいるが、もちろん話を大きくして伝えているのは昨夜エスコートをしてくれた兄である。帰りの馬車の中では疲れたと言って、ステファニーは王太子との会話の内容を兄には話していない。兄はあれこれ聞いてきたが、ステファニーは適当に相槌を打つだけだった。
なのに何故か話が大きくなっている。
婚約式はいつだとか、ドレスをどうするかだとか気が早いことこの上ない。

それでもステファニーがそれを否定しないのは王太子との約束があるからだ。
「この相談の内容や付随する諸般の事情は我々以外には話さないで欲しい。」

このことについて話せるのは王太子と側近の方一人だけ。
ステファニーは昨夜のダンスが祟って筋肉痛だったので、朝からベッドの上ですごしていたが、誰にも合わずにすむのは助かった。
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