悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
その事に気づいたのは、領地の屋敷の図書室で本を探していた時だ。
その図書室は祖父が揃えた学術書から祖母や叔母(父の妹)が集めたロマンス小説まであったが、子供むけの本はなく、ステファニーがそこに足を踏み入れたのは10歳のその時が初めてだった。
たくさんあるロマンス小説のタイトルを見ていると、デジャヴを感じ、目眩がしてきた。
くらくらするのに耐えられず、図書室のソファに倒れ込み、次に意識が戻ったとき(探しに来た侍女に起こされた)は目眩はなくなっていたが、代わりに前世の記憶を思い出した。

多分トリガーとなったのはロマンス小説だ。
前世で、女子高生だったさやかは小説、特にロマンス小説を読むのが大好きだった。文芸部に入って友達を作り、そのうち自分でも小説を書くのだ!と、希望に満ちていた高校生活は半年後終わりを迎える。
どうやって前世を終えたのかはっきりと思い出せないが、病院に通っていた記憶はないから、事故か何かだったのだろう。
とにかく夢は途中で潰えたのだ。

前世の記憶を持ったまま、ステファニーは図書室のロマンス小説を片っ端から読みあさった。そして、読むものがなくなると、自分で創作を始めた。前世の続きを生きて、さやかの魂を救うかのように。
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