悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

執務室には先客の男性がいて、広い背中が見える。徐に振り向いた男性を見て、マリアは仰天した。

「テオドロス様！」
王太子はにっこり微笑む。
「マリア嬢、また会えたね。今日はこちらの保養園の教育方法について調査に来たんだ。王国内の領地によって教育に差が出るのは好ましくないからね。制度を見直そうと思ってるんだ。」
「そ、そうなのですね。素晴らしいお考えですわ。」
「マリア嬢にも意見を聞きたいのだが、良いだろうか？」
「私でよろしければ。」

もう会えないと思っていた王太子に会えて嬉しい反面、マリアはかなり混乱していた。