悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
王太子様はステファニーと婚約するはずなのに、公務とはいえこの様な地方での調査は文官に任せればいいのではないか、多忙だと聞く王太子の仕事が増えているのではないかと心配になる。

執務室の小さな会議用のテーブルを園長と王太子、マリアが囲み、保養園について質疑応答がなされる。マリアは母から聞かされている事をわかる範囲で回答する。
マリアの侍女がいれたお茶がなくなる頃に園長は用事があるからと部屋を出た。

2人と侍女だけになったので、マリアは先日から気になっていた事を思い切って王太子に聞いてみることにした。
「テオ様、ステファニー様はお元気でいらっしゃるのでしょうか。」
王太子はちょっとだけ驚いた表情をしてからにっこりと答えてくれる。
「ステファニー嬢は元気そうだよ。僕も時々会うくらいだけどね。あぁ、でもたまに目の下にクマを作っている事もあるな。気にすることでもないと思うが。」
テオドロスはそう言うと、何かを思い出すようにクスクスと笑っている。
「やはりお忙しくしてらっしゃるのですね。お茶会にお誘いしてもお断りの返事ばかりでしたから。」
「そうだね。ステファニー嬢は集中するとすごいからね。まぁ、秋の社交シーズンになればまた会えると思うよ。」
安心させるように笑って、王太子が頷く。
マリアも「だといいですね。」と返した。

やはりステファニーは王太子妃教育が忙しいようだ。テオドロスとも会っているのだから順調に婚約の準備が進んでいるのだろう。
マリアはそう結論づける事にしたが、気は晴れなかった。
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