悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

お茶を準備してくれた王宮の侍女が下がると、部屋の扉の内側に控えていた近衛騎士がクスクスと笑い出す。
「相変わらずですね。およそ悪役とは程遠い。」
ムッとしながらステファニーは言い返す。
「しょうがないでしょ。ニワカなんだから。」
「ニワカ？」
「急ごしらえ、っていうことよ。人に文句を言うのってエネルギー使うわね。あんまり好きじゃないわ。」
「ステファニー嬢はお優しいのですね。」
「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ。」
近衛騎士とのやりとりが終わると、ステファニーは机に向かった。

ステファニーは例の舞踏会の一週間後に王宮に部屋を与えられていて、週に４日ほど侯爵家から王宮に通ってくる。
特に何かを命じられている事はないが、王宮で働く人たちはステファニーが王太子妃教育の為に通っているのだろうと思っている。
特にステファニーの家族はそう思っていた。