悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

「テオドロス殿下、お久しぶりでございます。舞踏会の日以来かしら？」
ステファニーは王太子にそう言ったが、もちろん事実ではない。
「そうだな。長く会わなかったが、君は王宮に来て何をしていたのだ？あまり良い噂は聞かなかったが。」
「まぁ、酷いですわ、殿下。好きにして良いと言ったのはそちらですのに。」
「王宮の使用人たちにチクチクとクレームをつけることがか？」
「私は私の過ごしやすいように皆さまにお願いしただけですわ。殿下はいつもどなたかに会いに行ってらしたようですもの。」
「私は王太子としての公務をこなしていただけだ。」
「では、そういう事にしてさしあげます。」
王太子とステファニーは笑顔でやりとりしているが、２人とも目は笑っていない。

周囲、特にバイロン家とマリアは、ハラハラしながら２人を凝視している。