悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
王太子の後ろには、騎士の制服姿ではないロベールもいる。マリアは2人が来たことに驚いたが、ステファニーは眉間に皺を寄せていた。
「僕たちもお邪魔していいかい?」
「殿下、来るのが早すぎますわ!私たち、まだ何も話してませんのよ!だいたい、そちらのお話しは終わりましたの?」
ステファニーが王太子に容赦なく口撃するのを、マリアはハラハラしながら見ていたが、そう言えばバイロン家の夜会でもこんな感じだったかも、と思い返す。
そうしてるうちに王太子はマリアの隣に、ロベールはステファニーの隣に座る。
「ロベール、婚約者を自分のモノだと主張しすぎではないか?」
王太子が苦笑しながら言った。マリアはロベールの婚約者、と聞いて少し慌てる。
「陛下にご挨拶に伺うのにドレスを贈ったのです。それに彼女に似合っているのですから問題ないでしょう。」
ロベールは淡々と答えているが、隣のステファニーは先程の勢いはどこへやら、顔を赤くして恥ずかしそうだ。
「え?ロベール様の婚約者というのは、もしかしてその……。」
「ロベールとステファニーは婚約したのだよ。今日は陛下にその報告に来たのだ。」
微笑むだけのロベールにかわり、王太子が説明する。
「まぁ!それはおめでとうございます。良かったわ。夜会のあと、ステファニーの事が気になっていたから…。」
「ありがとうマリア。」
赤い顔のままステファニーが答えた。
「夜会のときのおふたりがいい雰囲気だと思っていたのですが、その後の騒ぎで忘れていましたわ。よかったわねステファニー。」
「え?いい雰囲気だった?私たちが?」
ステファニーがロベールを見ると、ほらね?という顔をして、ロベールが微笑む。
「少なくとも、私にはそう見えましたわ。」
まるで自覚のなかったステファニーは、ううん、と唸り始める。
「それって作戦としてどうなの…。」
とぶつぶつ呟きながら。
「作戦?」
マリアが不思議そうに王太子に確認する。
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