悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
もともと母親同士が友人で、治める領地もお隣、生まれた年も同じである2人が仲良くなるのは必然だった。優しいマリアにちょっとお姉さん気分を味わえるのが、ステファニーも好きだった。

そして、マリアは美しい。入って来た時から会場中の視線(特に男性の)を集めている。
贔屓目に見なくても、このホールの中で一番美しいのはマリアだった。
「マリア、ドキドキしてる?」
「そうね。あの方に会えるのを楽しみにしてたから。」
「私より?」
ちょっと意地悪言ってみる。
「そんなことないわ!ステファニーが一番よ。だってあの方とはこんなふうに笑って話せないもの。」
マリアが目を伏せる。
「私は伯爵家の一人娘で王太子妃にはなれないわ。だから離れたところから見ていられればいいのよ。」
そういって、マリアは父親の方を伺った。
娘と目が合ったグロリス伯爵はにっこり笑って頷く。
それはそうだ。こんな可愛い娘を手離したくはないだろう。
グロリス伯爵はステファニーを見ると
「舞踏会の間、マリアをよろしくお願いします。」と念を押す。王太子や貴族子息、令嬢たちから守って欲しい、ということだろう。
「もちろんですわ!ご心配なく。」
引きこもり令嬢に何ができるのかわからないがマリアを傷つけさせたりはしない、と心に誓った。
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