悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

王太子のお誘い

隣りにいるマリアの爽やかな印象とは逆に、ステファニーはダークなドレスを選んでいた。赤茶の瞳に赤みの強いブラウンの髪はこの国の貴族の令嬢には珍しくショートのボブがゆるくうねっている。自分では気に入っているが周りの目は奇異なものでも見るようだ。そんな不躾な視線は気にせず、ステファニーとマリアは壁際でそれなりに楽しんでいた。

ホールは徐々に熱気に包まれ、王太子は男女問わず多くの人たちに囲まれていた。時折、高位の令嬢と踊るなど、その行動には隙がない。王太子がどの令嬢を選ぶのか周りは興味津々だが、当の本人は真剣には考えていないように周りに見せていた。
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