生徒会長さんの溺愛、とめられない。
「翔平ってなんていうか、人たらし?」
私がそう言うと、みんな真顔になって。
「雪が、それ言う!?」
夏帆ちゃん、翔平、翔平ママと、あと一人の声が揃った。
「んー? なんか違う声聴こえなかったか?」
もくもくとステーキを食べながら、大雅くんがそう言う。
「あれ、今の大雅じゃなかったんだ?」
「俺、水飲んでたから」
「えっ、………」
背中がゾワッとする感覚があった。
私にも、聞こえた。
落ち着いた、男性の声が………。
「こわい………」
大雅くんがわざとらしくブルブルと震える。
「大雅くんがそれ言うんだ………」
「お、雪の珍しいツッコミ?」
おばけの類が大丈夫な大雅くんは、完全に私達を怖がらせて楽しんでいる。
「こわい………っじゃねぇよ、大雅……」
強がっている翔平の足はガクガクと震えている。
みんなが怯えはじめた。
「あー、なんか怖がらせちまって。悪い悪い、忘れて」
結局、この件はうやむやになったけれど、真相は、この直後に知ることになった。