生徒会長さんの溺愛、とめられない。


「じゃあ、そういうことで」


翔平が鼻歌を歌いながら階段をのぼる音が聞こえた。


「まったく、騒がしいやつだな」

「ふふっ、そうですね」


呆れたように笑う葉月先輩だけど、翔平のことは信用しているみたいだ。

生徒会の仲間だからか、一匹狼らしい葉月先輩とも仲良さげだった翔平。


お調子者っぽいところがたまにきずだけど、クールな葉月先輩に動じずに話せる翔平、本当にすごいと思う。


私がそんなことを考えて、頬を緩ませていると、葉月先輩が口を開いた。


「………翔平のことを考えているのか?」

「……えっと……?」


私の心を見透かしたようにそういう葉月先輩に、私はなんだか恥ずかしくなった。


「………呼び捨てしていたしな。そういうことか」


顔を赤らめる私を見て、先輩はぼそりと呟いた。


「あ、葉月先輩、翔平が来る前、なにか言いかけませんでしたか?」

「ああ、いや……気にするな」


なぜか微妙な表情になった先輩は、悲しげにうつむいた。

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