生徒会長さんの溺愛、とめられない。
「ど、どきどきしますね」
……仕方ないとはいえ、手を繋ぐなんて、ドキドキするっ。
私がそう言うと、葉月先輩が息をのんだ気がした。
ぎこちなく手を繋いだまま、電車はおおきく揺れる。
「………ひゃ、っぁ」
壁側にいる私に、よろけた葉月先輩が覆いかぶさってきた。
先輩は私を潰さないように、肘で自分の体を支えている。
………これは多分、壁ドン……というものだ。
顔が近くて、息ができなくて、心臓の音が、びっくりするほど大きい。
「………へ、変な声……だすな」
葉月先輩は顔も耳も真っ赤にして、私にだけ聞こえる声でそういった。
………変な声………みっともない声ってことだよね………。
「す、すみません……」
電車を降りるまで、ぎこちない空気が続いた。