生徒会長さんの溺愛、とめられない。
「ここって、屋上ですか?」
葉月先輩が私を優しくおろしてくれると、目の前には見慣れない風景が広がった。
葉月先輩は、
「そうだ。ここは昼休みも誰もこない」
と言った。
たしかに、静か………ちょっと車が通る音は聞こえるけど。
目の前に広がる白い地面と空だけの空間。
なんだか、殺風景だけど非日常が味わえて、新鮮な気分になった。
「素敵な場所ですね、屋上って入れたんですか?」
「ああ。鍵が壊れていただけだ」
鍵が壊れてた………よく見つけたな、葉月先輩。
「ところで雪。……日比翔平とは仲がいいのか?」
恐る恐る聞いてきた葉月先輩。
先輩には告白をされたからな……翔平に告白されたこと、言っておくべきなのかな……?
でも、翔平には葉月先輩のこと何も話してないし……、ここは言わないでおこう。
「翔平とは仲良しです! 一番仲いい友達、です」
「………そうか」
……あれ? 私何か気に触るようなこと、言っちゃったかな?
葉月先輩はクールで、返事はだいたい「ああ」か「そうか」だけど、今の返事はなんだか元気がないように思えた。