生徒会長さんの溺愛、とめられない。
「ふぅーん。要するに会長は、最初に雪を喜ばせて、喜んだ顔が見れて調子乗っちゃって………」
「えっ………調子乗ったってわけじゃ……」
私の情けない声も、夏帆ちゃんには遮られる。
調子に乗ったって……どういうことだろう。
「雪が可愛すぎて、襲いそうになったんでしょ……分かった?」
「………へっ」
お、襲いそう……って……。
驚いて間抜けな声が出た私を、呆れたように見ている夏帆ちゃん。
葉月先輩は、私のことを『女』として見てるっていうこと……?
私と、その………あんなことやこんなことをしたいと思っているってこと……?
告白もされたから……それに、葉月先輩の甘い言葉には………愛が感じられたから。
夏帆ちゃんの言葉に、納得してしまっている自分がいた。
「まあ、あんた可愛いから。それでいて色気もあって。無自覚で天然で………思わせぶりだし」
………な、何を言ってるの……?
恋愛小説でよく見かける、『無自覚美少女』のヒロイン。
私なんかのことを、そんな風に表現する夏帆ちゃんに、心底呆れた。
「私は……普通に苦手なものもあるし……夏帆ちゃんが言うような、天然じゃないよ?」
「まあ、雪は頭いいし。頭悪い系の天然とは違うわね」
……夏帆ちゃん、何を言っても通じない……!
「ていうか、話それてるよ? 会長と雪の恋バナしてたんじゃなかったの?」
「そ、そうだね……って! 恋とかじゃないよ……!」
あんなに素敵な葉月先輩と、私なんかを恋愛関係として見るなんて………おこがましすぎる……!
「はぁ……こっちは気楽そうでいいわね。私の恋の悩みも、聞いてくれる?」
夏帆ちゃんはへらりと笑って、その後少し悲しそうな顔をした。
そして、ためらいながらも口を開いた。
「大雅と………上手くいってなくて……」
………え……。
「ふふっ、雪、面白い顔してる。びっくりした?」