生徒会長さんの溺愛、とめられない。
「え……サマー仕様のネズミーくん……! かわよ………」
森に見立てた公園を進んでいって、現れてくる可愛いフォトスポットで写真を撮るというアトラクション。
あとからまとめて購入できるんだっ………!
もう、可愛すぎる……!
「雪、目キラキラ。可愛いな」
「な、何を言ってるの……翔平? ネズミーくんを見てみて……! そんな考え消えるから……!」
か、可愛いって………。
翔平、なんだか甘すぎるような……優しすぎるような………。
甘い言葉を、普段はおちゃらけている翔平に言われると………ギャップを感じて、否応なしにドキドキしてしまうっ………!
『試す期間、一週間設けてよ』
突然、教室の外での、翔平の言葉がフラッシュバックした。
………あれ、もしかして……。
「………もしかして、もうお試し期間入ってるの?」
森の中を進みながら、翔平に尋ねた。
「ちょっ、しー!! 恥ずいって!」
翔平は真っ赤な顔で、口元に人差し指をあてながら慌てている。
「べ、別にそんなに焦ることじゃ……」
「………夏帆ちゃんとか大雅とかに、知られたりしたらさ……俺の発言とか……照れるじゃんっ」
頭を掻いて、照れ笑いをする翔平。
うわ、なんか……緊張する……。
いつもの、翔平なのに……っ。
あ、いつもセンター分けの髪、今日はまっすぐおろしてる。
「あ、遅いよ~! フォトスポットあったよ!」
「遅いぞ翔平……! 汗かいて……疲れてんのか?」
「………フォトスポットじゃん! 可愛いな、雪」
「う、ん……可愛い……」
ついたフォトスポットは、プールで浮き輪を使って遊んでいるネズミーくんとネミーちゃんのイラストだった。
ネズミー型の、事前にもらっていた鍵を差し込むと、前のカメラに数字が映し出された。
「ポーズはネズミーの指定……?」
「ヤバ、カウントダウンはじまってる……!?」
3、2、1………。
『ほっぺにちゅーして、撮ってみよう!』
………うそ、ネズミーくん……?
「ネズミーふざけてんだろ」
「私はしよっかな……?」
「え、夏帆ちゃん……!?」
「俺も雪にしてほしいな……?」
ネズミーくんの声で流れた音声に、4人で戸惑う。
「………」
ぼそりと聞こえたその声に、私は少しきゅんとした。
けれど、みんなテンパっていて………。
結果、すごく悲惨な写真が撮れたのだった。