生徒会長さんの溺愛、とめられない。
『私はしよっかな……』
『大雅、スキ………』
ぼそりと呟かれた一言が、ずっと頭の中に残っている。
「実はさ……私、夏帆ちゃんがスキって言ったの聞こえたんだっ」
「………うそ!? 恥ずかしい……翔平にも聞こえたかな……?」
驚いた様子の夏帆ちゃんは、ちらりと観覧車へ続く列に並んでいる翔平を見た。
「あ………それはない。翔平、その時私のほっぺたにキスしようとしてて………」
多分冗談なんだけど、そっちに意識集中してるっぽかったし………夏帆ちゃんの一言は耳に入っていないと思う。
「え……!? まじかよ翔平……肉食系なんだね」
「いや、違くて……。場を和ませるための冗談だよ?」
肉食系という感じでは……ないよっ!
『悪い……怖かっただろ……』
急に屋上での葉月先輩がフラッシュバックして、思わず肩がびくりと跳ねた。
な、なんでここで、葉月先輩が……出てくるのっ。
私が一人でもんもんとしていると、夏帆ちゃんは大雅くんの方に走っていってしまった。
『雪が可愛すぎて、襲いそうになったんでしょ……分かった?』
本当に、私を襲おうとしてたのかな……葉月先輩……。
いやいや。夏帆ちゃんの憶測だって言ってたし……っ。
「今頃、葉月先輩………どうしてるんだろう……」
「………へ……!?」
ぽつりと呟くと、後ろに並んでいる帽子にマスク、メガネの男性が、驚いたように声をあげた。
………ん?
あれ………この人……どこかであったような……?
それに、なんとなく葉月先輩に似た声……。
「……もしかして。あなた葉月せんぱ……」
「ええっと……!? どういうことですか!?」
私の声を、夏帆ちゃんの大きな声が遮った。