生徒会長さんの溺愛、とめられない。


「ごめんな、雪。もうこの気持ちにキリをつけるから、俺と友達でいてほしい………」


無理を承知の上での質問だ。

案の定、雪は困ったような顔をした。

だが、予想外の言葉が俺の胸へと突き刺さる。


「………い、嫌です……!」


「………えっ、と……?」


どういうことだ………?

まさか雪が、こんなにも……はっきりと嫌がるなんて。


俺は、雪とは友達ですらいられないんだな……。

俺には、雪をしつこく説得することなんてできない。


友達から、という言葉はもう使用済み。


「………っ……」


“言ってやったぞ”の様子で顔を赤くし、目をつむっていた雪。

………?

俺が殴るとでも思ったのだろうか………。


「………はっ。ち、違うんです……!」


顔を赤らめ、汗をとばしながらうろたえている雪。


「いや、いいぞ。雪の望む関係に………なろうか」

「………っ……それって……?」


雪は……前の“友達ではない関係”を求めている。

俺なんかと出会う前の………知人でもなかった頃に。


「………本当に、友達として最後に……っ……聞きたいことがあるんですけど……?」


顔を赤らめながら、こてんと首を傾げて尋ねる雪。

……くそ、可愛い……っ。


「なんで、ここにいるんですか……?」


「ああ、そのことか………」


最後に話すことでさえ、気持ち悪いことなのか―――。


雪ともう関われなくなる。

友達ではなくなる。


話し終わったら―――キスでもしてしまおうか。


俺は、情けなく震えそうな唇を開いた。



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