シロツメクサの約束~恋の予感噛みしめて~
「え、あ、そんなこと言ったっけ?」
「とぼけるなよ。さっき絶対思い出しただろう」
彼には私の脳内が読めるのだろうか、言い当てられてそれ以上ごまかすことができない。
「奈穂が言ったんだ。『治療の上手な歯医者さんになったら、結婚してあげる』って」
「うう……言った、かな?」
空くんに言われたときは可愛いなんて思ったけど、同じようなことを自分も朝陽くんに言っていたなんて。
慌てる私を見た彼は私が彼にプロポーズをしたベンチに座った。そして視線で私に隣に座るように促した。
「さて、あのころの約束叶えてもらおうかな」
こぶしふたつぶんくらい開けて座っていたはずなのに、すんなり距離を縮められて顔を覗き込んでくる。
「叶えるって、結婚するってことだよ?」
「あぁ、そうだ。奈穂は俺が相手だと不満か?」
ちょっと眉尻を下げてそんなことを聞かれた私は、全力でそれを否定する。
「不満なんてない。あのころよりもずっとかっこよくなっていたし、治療も上手だしあのころと変わらず優しいし、私にはもったいないよ」
何も持たない私には、不釣り合いだろう。小さかったころのように何も知らないまま「結婚して」と言えるほど世間知らずじゃない。
「じゃあ、奈穂にとって俺は合格ってことだな」
「っていうか、朝陽くんを不合格にする人ってこの世に存在する?」
私の言い方がおかしかったのか、彼は声をあげて笑っている。
「奈穂はやっぱり奈穂だな。急に俺の前に大人になって現れて驚いたけど。でも昔からこわがりなところも一生懸命なところも変わらないな」
「とぼけるなよ。さっき絶対思い出しただろう」
彼には私の脳内が読めるのだろうか、言い当てられてそれ以上ごまかすことができない。
「奈穂が言ったんだ。『治療の上手な歯医者さんになったら、結婚してあげる』って」
「うう……言った、かな?」
空くんに言われたときは可愛いなんて思ったけど、同じようなことを自分も朝陽くんに言っていたなんて。
慌てる私を見た彼は私が彼にプロポーズをしたベンチに座った。そして視線で私に隣に座るように促した。
「さて、あのころの約束叶えてもらおうかな」
こぶしふたつぶんくらい開けて座っていたはずなのに、すんなり距離を縮められて顔を覗き込んでくる。
「叶えるって、結婚するってことだよ?」
「あぁ、そうだ。奈穂は俺が相手だと不満か?」
ちょっと眉尻を下げてそんなことを聞かれた私は、全力でそれを否定する。
「不満なんてない。あのころよりもずっとかっこよくなっていたし、治療も上手だしあのころと変わらず優しいし、私にはもったいないよ」
何も持たない私には、不釣り合いだろう。小さかったころのように何も知らないまま「結婚して」と言えるほど世間知らずじゃない。
「じゃあ、奈穂にとって俺は合格ってことだな」
「っていうか、朝陽くんを不合格にする人ってこの世に存在する?」
私の言い方がおかしかったのか、彼は声をあげて笑っている。
「奈穂はやっぱり奈穂だな。急に俺の前に大人になって現れて驚いたけど。でも昔からこわがりなところも一生懸命なところも変わらないな」