私がこの世で一番大好きな人
 そして今日もまた彼が来た。


「待ってたわ、リュカ」


 笑顔で彼を迎える。
 彼は私を見ると、嬉しそうに表情を綻ばせる。

 黙っているとキリッとして一見厳しそうなのに、こうして見ると可愛らしく感じる。


「二週間前は、まさかこんな風にリーベの笑顔が見れるようになるなんて思ってもいなかったよ。ねえ、抱きしめてもいい?」


 “好き”と言われた日から、彼はやたらとこうやって私と触れ合いたがる。

 最初は得体の知れないこの人が怖くて嫌だったけど、今ではそれもなんだか嬉しく感じてしまっている。

 でもそれを素直に伝えるのは恥ずかしくて、無言で頷くので精一杯。
 リュカは嬉しそうに私を抱きしめてくる。

 彼の腕の中はどこか安心する。
 そう思って、私は彼の厚い胸板に顔を寄せる。


「本当にリーベは可愛いね。許されるなら、ずっとこうやって君のことを抱きしめていたい」


 私も、と思うけど、それを言葉にするのは恥ずかしいので、私も彼のことを抱きしめる。


「……っ」


 何かを耐えるようなリュカの声が聞こえるけど、それを無視して彼の腕の中で目を閉じる。
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