私がこの世で一番大好きな人

「やっとリーベのことをここから出せる算段がついた」

「本当に……?」

「ああ、あと一週間くらいでこんな場所はおさらばだ」


 あと一週間。
 それであの地獄のような日々が終わる。
 なんて嬉しいんだろう。


「リーベどうして泣いてるの? まだ痛いところある?」

 気づかなかったけど、泣いていたみたい。
 彼が優しく指で涙を拭ってくれる。


「ううん、違うの。やっとここから出れるんだ、って思ったら嬉しくて」

「そっか、それならよかった。いきなり泣くから驚いたよ」


 彼が私の頬にキスを落とす。

 それがくすぐったくて、くすくすと笑う。
 私が苦しくならない程度にぎゅーと抱きしめてくる。


「ああ、本当にリーベ可愛い。早くこんな所から出てずっと一緒にいたい」

「ここを出ても一緒にいてくれるの?」

「そのつもりだけど、嫌だった?」


 これからも一緒にいられるなんて思ってもいなかった。

 ここから出たら、こうして会うことはなくなるんだとばかり。


「ううん、嬉しい。ここから出たら会えなくなるかと思って、少しだけ寂しかったから」


 彼の背中に回している手の力を少しだけ強くする。


「まさか。元々君の生活の基盤が整うまでは、一緒に生活する予定だったんだ」


 本当にこの人は優しい。
 この人が私のことを見つけてくれてよかった。
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