私がこの世で一番大好きな人
 閉じていた目をそっ、と開くと、そこにはリュカと彼に押さえつけられているオリバーの姿があった。

 彼が助けに来てくれた。

 それが嬉しくて、先程とは違う涙が頬を伝う。


「……リュカ」


 私の声に反応して彼がこちらを向く。
 その隙にリュカの下にいたオリバーが彼のことを押しのけ、彼の腰にある剣を奪おうとする。

 しかし彼の方が強いらしく、それをいとも簡単に阻止する。

 オリバーは彼を睨みつけると、私の方に向かってくる。
 痛みと恐怖で動けない私は簡単に捕まってしまう。

 そして、どこかから取り出したナイフを私の首元に当てる。


「こいつが殺されたくなかったら、お前の剣を寄越せ!」


 彼は憎らしげにオリバーを見ると、剣を腰から外して床に置く。

 オリバーは私の首にナイフを当てたまま彼に近づく。
 そして彼を剣から離し、ナイフをしまってからそれを拾う。

 それから私のことを彼がいる方とは逆の方に突き飛ばす。


「いっ……」

「リーベ!」

「お前がリーベの名前を呼ぶな! こいつは俺のものだ! 誰にも渡さない! 誰かに奪われるくらいなら殺してやる!」


 オリバーが剣を抜いて私に向かって振りかぶる。

 逃げないと、と思うのに痛みと恐怖でやはり体が動かない。
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