私がこの世で一番大好きな人
　今まで外になんか出たことがなかったから、オリバーの気まぐれで買い与えられた本でしか外のことは知らなかった。

　初めて見る空は雲一つなく、とても綺麗だった。
　綺麗に手入れされている木々、石畳の地面、綺麗に整えられている緑色の草、全てが新鮮だった。

　これが外の世界。

　本で知識だけはあったけど、絵がついていなかったから、あの窓一つない狭い部屋からじゃ想像もできなかった。

　あの淀んだ部屋と違って、空気も澄んでいる。


「この子外に出るの初めてなんだっけ？」

「リュカの話だとそうだったよな」

「ふふ、目キラキラさせて可愛い」


　彼に可愛いって言われるとすごく嬉しいのに、この人に言われても何も嬉しくないと少しぶすくれると、くすくすと笑われる。

　何がおかしいのだろう。


「お前に可愛いって言われたくないってさ」

「え？　俺もしかして嫌われた？」


　そこで外の景色に見惚れていたせいで忘れていた彼の様子を尋ねる。
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