私がこの世で一番大好きな人
「リュカは大丈夫ですか?」
「息は少し浅いけど大丈夫だよ」
息が浅いって本当に大丈夫なのだろうか。
彼が死ぬかもしれないと思うと、先程までキラキラして見えた景色が一気に色をなくしていく。
「そんなに心配しなくても大丈夫だ。俺たちの仲間に腕のいい術師がいる。そいつの手にかかれば、あんな怪我あっという間に治る」
私のことを抱えている茶髪の人が私を安心させるように優しく言う。
その言葉を信じることしかできないので、私は「はい」と答える。
けれど移動中も彼のことが心配で、何度も彼の様子を尋ねると、金髪の人と茶髪の人がくすくすと笑う。
「本当に君はリュカのことが好きなんだな」
「ね、可愛い」
また可愛いって言われた。
やはり彼以外に可愛いと言われても嬉しくない。
「また、むすっとしてる」
「そんなに言われるの嫌なのかな」
そんなこんなで、彼とこの人たちの職場だという場所についた。