私がこの世で一番大好きな人
「そう言えば風呂に入れたと言ってけど、お前が入れたのか?」
「リュカが怒るの分かってて、俺が入れる訳ないだろ。その子を風呂に入れたのはキャロルだよ」
「そうか、それならよかった。入れたのがイアンだったら、どうしてやろうかと思った」
「怖いこと言うなよ。本当にその子のこと好きなんだな」
「ああ、好きだ。当たり前だろ」
好きって言ってくれた。
人にもこうして言ってくれるのが嬉しい。
私も好き、と心の中で返事をする。
「可愛い。俺に好きって言われて嬉しかったの?」
どうやらそれが顔に出ていたようだ。
さっき抱きしめられるのを嫌がったからか、彼は私の手を取り繋いでくる。
まあ、これくらいならいいかと思いながら頷く。
「そんなのいくらでも言うよ。好きだ。愛してる」
こうやって真っ直ぐ言われるのは少し恥ずかしいけど、やはり嬉しい。
ああ、すごく幸せ。
彼に好きと言われるだけで、私をこんなにも幸福で満たしてくれるなんて彼はすごい。
そんなことを思っていると、咳払いが聞こえる。