私がこの世で一番大好きな人

「おい、流石に少しやりすぎなんじゃないか?」

「リュカ、お前は優しいなぁ。けど、こいつにはこうやって教育してやんないとわかんないんだよ」


 「おい、リーベ起きろ」というオリバーの声が聞こえ、重い体をなんとかして起き上がらせる。


「黙ってないでこいつに自己紹介でもしたらどうだ? 初対面の人には挨拶するって教えたよなぁ?」

「……っ、ごめんなさい。私は、リーベです。オリバー様に、ここで……立派な妖精に、なれるように、教育してもらってます」

 痛みと恐怖で所々詰まりながら挨拶をする。

 こんなの全部嘘だ。

 教育という体で、オリバーは私にただ暴力を奮ってくるだけ。
 機嫌が悪いから、私が反抗的な態度をしたから、目が気に食わないなど、色々な理由をつけては暴力を奮ってくる。

 その度に私はそれを耐えるしかない。
 こんな足枷さえなければ、こんな男簡単に倒せるのに。


「よく出来たなぁ」


 オリバーは満足気に私を見る。
 どうやら挨拶は今のであっていたらしい。


「もう俺は満足したから、もうそろそろ飲まないか?」


 それに安心していると、オリバーの横にいる男がそう言って、オリバーを連れて部屋を出て行く。

 今日はこれで終わりらしい。
 もっと酷い日もあるから、これだけで済んでよかった。

 特に痛むお腹を抑えて横になる。
 緊張感がとけたからか、眠気が襲ってくる。
 それに身を委ねて眠りにつく。
< 4 / 41 >

この作品をシェア

pagetop