私がこの世で一番大好きな人

「……あなたの、目的はなんですか?」

「さっきも言ったろ? 君のことをここから助け出したいって」

「そんなの、信用できません」

「君が俺のことを信用できないのはわかるよ。けど、信用してほしい。そうやって君が怯えずに暮らせるようにしてみせるから」


 そう言って彼は私の頭をもう一度撫でてから部屋を出ていく。

 なんなのだあの男は。
 助け出すとか、怯えずに暮らせるようにする、とか耳障りのいい言葉を吐かないでほしい。

 それが本当だとしたら、どうしてもっと早く助けに来てくれなかったの。

 オリバーの暴力のせいで私の体はもうぼろぼろだ。
 今更助けに来ただなんて信じられない。

 でも、もしもあの言葉が本当だとしたら……。

 久しぶりにこんなに人と話したせいか疲れてまた眠りにつく。
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