推し一筋なので彼氏はいりません
第二節
絶対昨日の試合終わりの先輩のせいだ。
私は今、おそらく昨日先輩の後ろで私を睨んでいたであろう女の子たち4人に囲まれている。
え、リンチ?次こそ私やられる?
けどここ下駄箱近いし人通り多いけど大丈夫?すぐ先生呼ばれない?
こういう時って校舎裏とかが定番だよね?
「遥斗くんって誰?
佐山くんよりかっこいいの?」
あ、なんだ。気になったのそこか。よかった。
「アニメの登場人物で、先輩より遥かにかっこいいです。
というか先輩のカッコ良さが私的にはいまいち分からないです。」
「え、あなたオタク?」
「まあ。オタクというにはオタクの方に失礼なレベルのまだ軽めのオタクですかね。」
「よくわかんないけど、なんでそんな子が佐山くんに好かれてるの?」
「いやちょっと分からないというか、それは私も教えて欲しいですね。」
「しかも何回も佐山くんの告白断ってるし。」
「それはまあ好きじゃないので。
あれ、あの、みなさんは先輩のことが好きなんですよね?
私と先輩が付き合った方がいいんですか?」
「好きだから、あんな素敵な人の告白を断る意味がわからなかったの。
付き合って欲しいとは微塵も思ってないから。」
「けど二次元が好きな人間なら納得〜。」
「けどあれだけカッコいいと二次元にも勝てそうじゃない?
そのうち絆されて付き合うかも。」
何その言い方。遥斗くんバカにしてんの?
それとも私の遥斗くんへの愛をバカにしてんの?
「それは困るわ。
ねぇ、もっとしっかり佐山くんのこと振ってくれない?
そしたらその弱ったところを支えるって名目で仲良くなれるし、さすがにあなたも自分がこっぴどく振った相手と付き合おうなんて思わないでしょうし。」
いや最初から付き合おうなんて微塵も思ってませんよ。それに既にしっかり断ってます。
どんだけ勘違いしてるんだろ。全員が佐山先輩のことを好きになると思わないで欲しい。
「あの、私本当に先輩のこと興味ないので、勝手にしてください。
既に先輩にはしっかりお断りしていますので。」
二次元も、遥斗くんも、私の遥斗くんへの気持ちも、全部バカにしているようで気分悪い。
それに先輩のことも。
本当に大切に思ってるなら、弱ったところに〜なんて発想になるかな?
私は遥斗くんが落ち込んでたら、一緒に辛くなっちゃうと思うけど。