推し一筋なので彼氏はいりません
それから1週間が経った。
佐山先輩は毎朝教室の前で待っていて、私があまり会話に乗り気じゃないため、10分程度ほとんど一方的に話して自分の教室に帰っていく。
ちなみに佐山暁良という人物は、カッコよくて頭も良いと校内では有名な人物らしく、あの後友達にもいろいろ聞かれたため、佐山暁良という名前も思い出した。
私はというと、先日から放送中のアニメの遥斗くんに夢中だ。
「1話から遥斗くんがわりと長尺でみれて興奮した〜!とにかくビジュが良い。作画のクオリティ上がってたし。」
「愛衣は揺るがないね〜。
校内がこんだけざわついてんのに。」
「個人的には、二次元の美形をみすぎて三次元が何?って感じなんで。
それに私遥斗くん一筋だし。他に割いてる時間ない。」
「ま、そんな感じの愛衣だから、こういう会話聞いてるクラスメイトはそんなに気にしてないみたいだけど、他クラスとか他学年の佐山暁良ファンは愛衣のこと敵視してる子も多いよ?」
「私別に恋愛とかいいのに。
遥斗くんが元気に生きてさえくれれば。」
「はいはい。誰かに何か言われたら遥斗くん?のこと熱弁してあげな。みんな引いて何も言わなくなると思うから。」
「いやさすがにそれは……。
菜々春は幼なじみだし理解あるからいいけど、何も知らない人に熱弁したらやばいオタクだと思われちゃう。」
「事実やばいオタクじゃん?」
「いや決してそんなことは無い。
バイト代の範囲内で応援してる程度だし、二次元と三次元の区別はついてます。」
「特進科余裕だけど、遥斗くんのための時間減るからって理由だけで普通科選んでる時点でちょっとやばいよ。」
「いやそんなこと言ってないじゃん。
授業数とか課題の量多いって聞くから面倒だな、って思っただけだもん。」
「へぇ?」
「そんな顔で見ないでよ。ほんとだもーん。」
「はいはい。」