推し一筋なので彼氏はいりません
「佐山くんは菅野さんに何度も振られてるんですよね。」
「まあそうなりますかね…?」
「振られるの、怖くないんでしょうか。」
「さぁ……。でも最初を除けば、とても軽いノリで付き合いません?って言ってきますよ。
私も遥斗くんに軽率に好きって言いますし。まあ画面越しですが。
応えを求めずにただ好きと伝える分には、振られるということはありませんよ。」
「それはそうですが……。」
「あ!私にしたみたいに、下駄箱に手紙入れるとかどうですか?
返事はいらない旨を伝えておけば、問題ないです。
あれ、けど先輩は佐山先輩と付き合いたいんですかね?だとしたらそういうわけにもいかないのかな……。」
恋愛感情を誰かに抱いたこともないから、こういう話全く分からない。
「なんか拍子抜けしました。
もっと意地悪な人を想像してました。」
「私も正直、もっと怖い人かなって思ってました。」
「ごめんなさい、突き飛ばしたりして。大丈夫ですか?」
「はい。少しお尻が痛いくらいで。」
「本当にごめんなさい。」
「いえいえ、大丈夫ですよ。
佐山先輩のこと、頑張ってください。
そしたら私のところに来るのもやめてくれると思いますし。」
「ありがとうございます。頑張ります。」
彼女は私に会釈をして、さっきとは打って変わってすっきりした顔で去っていった。