推し一筋なので彼氏はいりません



《菅野愛衣 side》


「先輩本当に引きがいいですね!」


「喜んでいただけたようで何よりです。」


今日は、先輩と約束してしまった、ポップアップストアに一緒に行く日。

周りのお客さんに、カップルがイチャイチャしてんじゃねぇというくらいの視線を向けられるが、問題は無い。

だって今日も遥斗くんを一発で当てて頂いたから。


「先輩が居てくれて良かったです。」


「そう言って貰えて嬉しいです。」


「あー、遥斗くんカッコいい……。」


グッズを入手した後に、ストアに飾られていた等身大パネルを様々な角度で撮ってやっと店を出る。


「もし菅野さんがよければ、お昼ご飯一緒に食べませんか?」


「いいですよ。」


自分の趣味に付き合わせて、ただグッズを選ばせて解散なんて、さすがに私はそんな薄情なやつでもない。

それに先輩は、アニメを全部みてからは遥斗くん話に乗ってくれるから、話してて意外と結構楽しいことが判明した。


「何が食べたいですか?」


「特に好き嫌いはないですし、なんでもいいですよ。
先輩が食べたいものは?」


「俺も特には。
無難にファミレスにします?」


「ですね。安いし美味しいですもんね。」


「それに、菅野さんが遥斗さんの話をしてるときについ大きい声を出しても、まあセーフですしね。」


「…確かにそれもありますね。」


遥斗くんの話となるとつい興奮してしまって、ふいにボリュームでかくなっちゃったりするんだよね。

バレてるってことは先輩の前でも何回かやってたんだな、私。申し訳ない……。


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