推し一筋なので彼氏はいりません
「山本さんはどんなグッズを買ったんですか?」
「俺はですね〜、」
最初こそ先輩のことを多少気にしていたものの、初めてこれだけ語れる人がいるのが嬉しくて、時間も忘れて結構話しこんでいた。
「あ、すみません。
先輩全然楽しくないですよね。」
「いや、そうでもないですよ。
楽しそうに話してる菅野さんが可愛いので。」
「やっぱりおふたりは付き合って……?」
「ないです。」
「俺が一方的に想ってるだけですよ。」
「そうなんですか。頑張ってください!」
「ありがとうございます。」
応援なんかしなくていいのに。
「俺はそろそろ失礼しますね。
これ、SNSのアカウントです。一応渡しておきますね。よければまたお話しましょう。」
「はい。ありがとうございました。」
「こちらこそ。」
そうして山本さんが帰った後も、なぜか隣に座ったままの先輩。
「戻らないんですか?そっち。」
「まあまあ、もうちょっといいじゃないですか。
それにしてもよかったですね。たまたま同じ作品を好きな方に出会えて。」
「はい。私に終始付き合って下さってありがとうございます。」
「いえいえ。
菅野さん、話してばかりであまり食べてないですよね。なにか追加で注文しますか?」
「します!何食べようかなぁ。」