推し一筋なので彼氏はいりません
第三節
私は今、なぜか佐山先輩とふたりきりで夏祭りの屋台に並んでいる。
「人多いな……。
菅野さんそこいたらぶつかって危ないから、俺の前に並んでください。」
私を庇うようにして並び直す先輩に、同じ列に並んでる女の子たちがザワつく。
「森本さんうまくやってるかな。」
「大丈夫じゃないですか?
橘も森本さんのこと好きだし、今頃上手くいってイチャついてるかもですよ。」
「だといいですね。」
「俺らもイチャつきます?」
「結構です。」
今日は元々、試合で声をかけたあの森本さんと、森本さんの好きなバスケ部の橘さんと、4人で来ていた。
森本さんはあの後わざわざお礼の品を持って教室までやってきて、それがきっかけで仲良くなった。
話を聞いているうちにあの日は橘さんを応援しに行っていたことを知り、
なんとなく佐山先輩に橘さんのことを聞けば、橘さんも森本さんのことが好きだとわかった。
2人は中学からの知り合いらしくて、もう長い間お互い想いあってたらしい。
そんなの聞いたら早くくっつけたくて仕方なくなって、先輩に協力してもらって4人で夏祭りにやって来た。
ちなみにいまは夏休み2週間目。