推し一筋なので彼氏はいりません
《佐山暁良side》
昔から見た目が良いという理由で、よくもてはやされていた。
加えて学力は上の上~中くらいで、運動神経もそこそこ良かったため、自分でいうのもあれだがよくモテていた。
けど恋愛や恋人というものに興味どころか、むしろ嫌悪感さえあって、誰かと付き合ったことはなかった。
この間、たまたま友達と出かけていたら、とある女の子が若めの男に絡まれているのを見かけた。
最初は適当にあしらっていたと思ったのに、持っていた荷物に触れられると『触んな!』とまさかの金的。
それを見て、俺はその荷物に何が入っていたのか気になった。
無視し続けていたらそのうち男も諦めただろうに、肩に触れられても何も反応してなかったのに、触られてそんなに嫌な荷物の中身はなんなのだろう。
確かめたくて、その子を探すために校門で待っていた。
そしたら、友達に楽しそうにアニメの話をしているその子を見つけた。
もう何年も同じキャラを推し続けているらしい。
あの近くにはアニメショップがあったし、持っていた袋もその店のもののように見えたから、あれはアニメのグッズかなにかだったのだろう。
いま嬉しそうに語っている遥斗くんというキャラのものだったのだろうか。
自分でもアホだと思うが、こんな風に想われてみたいと思った。
そう思ったら告白以外に特に思い浮かばなかった。
好き、ではないと思うけど、付き合ったら俺の事を好きになってくれると思って。